結局病院へいくことになった。

主治医の先生は小さい頃から診てくれているベテランの女医さんで、心臓専門のとても有名な先生だ。

突然の受診にも関わらず、ほぼ待ち時間なしで順番が回ってきた。それは私が神楽財閥のお嬢様だから、という理由ではない。

「検査も特に問題ないわね。顔色もよさそうだし、今のところ異常はないですね」

「さようでございますか」

「だからずっとそう言ってるのに」

私はムッと唇を突き出して平木をジト目で見た。

「ですが、ずっと浮かない顔をされていたので心配で。本当に異常はないのですね?」

それでも平木は先生に食い下がる。

「平木さんは心配しすぎですよ。そんなんじゃ葵ちゃんも窮屈です。周りが病気を作ってしまうこともあるんですからね」

「え?」

「心配して疑ってばかりだと、本当にその通りになってしまいますから。葵ちゃんの言い分も信じてあげてください。胸が痛くなる原因は他にもありますし。葵ちゃんももう高校生なんだから。ね?」

先生はニコッと笑ってウインクしてきた。おちゃめで美人で女子力が高くて憧れちゃう。小さい頃からずっと診てもらってるので、信頼もしてる。