一生に一度の「好き」を、全部きみに。


「神楽さん」

教室に戻る途中、階段をおりていたら派手な男子に呼び止められた。咲の友達の黒田(くろだ)くんだ。

「咲知らない? あいつ、昼休みのたびにどっか消えるんだよね」

黒田くんは明るくて常にニコニコしている穏やかな人。誰とでもすぐに仲良くなれるという特技の持ち主らしく、女子からの人気も高い。

実際私にも偏見を持つことなく普通に接してくれるんだ。人懐っこくて、咲とは正反対のタイプ。

「あ、咲ならもうすぐ」

戻ってくるんじゃないかな。そう言いかけたところで、言葉が止まる。なんとなく屋上でのことは他の人に知られたくない。

ふたりだけの秘密にしておきたい。

変なの、そんな風に思うなんて。

「あー! 咲! いた!」

黒田くんは目をらんらんとさせて無邪気に笑った。

「どこにいたんだよ、探したんだぞ」

「あーうん、悪い。ちょっとな」

「お前の居場所がわからなくて、思わず神楽さんに聞いちゃっただろーが。あ、神楽さん。俺と咲は中学からの親友ですっげー仲良しなんだ」

しれっとしている咲と、無邪気な黒田くん。相反するふたりだからこそ、仲がいいのかな。