「恋バナですよ、恋バナ。女子高生の話題なんて、それしかないでしょう?」

「こ、恋……バナ!? 葵お嬢様が? 恋をしてらっしゃるんですか!?」

「ってことで、ついてこないでくださいね」

は、早瀬さんって、大人しい子だと思ってたけど案外喋るんだ。強面の大人相手にたくましすぎる。

ポカーンとしながらも、グイグイと近くにあったパンケーキが有名なカフェに連れこまれた。

タイミングよくテーブルが空いて、私たちはすぐに席へと通される。

「えへへ、余計なことしちゃったかな。困ってる神楽さん見て、つい助けたくなっちゃったの」

舌を出してかわいく笑う早瀬さん。

「めちゃくちゃ目立ってたよ、神楽さんたち」

早瀬さんは何事もなかったかのようにあっけらかんと笑った。長い髪を耳にかける仕草が大人っぽい。なんていうか、お上品な子だ。

私のこと、助けてくれたんだよね?

私は一連の出来事につい噴き出した。

「あはは、早瀬さんって度胸がありすぎる」

「笑わないで〜! 緊張したんだからぁ!」

照れくさそうに苦笑する早瀬さんは、出された水をひとくち飲んだ。