翌日は目を見張るほどの晴天で、車椅子で久しぶりに外に出るとクラクラとめまいがした。
これから車で空港へ移動してアメリカ行きの飛行機に乗る。そしたらもう、日本へは戻ってこない。
「葵、大丈夫か?」
「うん……」
口角を持ち上げてみるけれど笑えない。気力がごっそり体から抜け落ちている。
お父さんはそんな私を見て寂しそうに目を伏せた。
「早くいこ、お父さん……」
「友達はいいのか? 見送りにくるんだろ? 毎日病室にきてた、鳳くん、だったかな?」
「…………」
くるわけないよ。言ってないんだから。そもそも、もう会えない。
「疲れたから、早く車に乗りたい」
「葵……」
病院の正面玄関を出てすぐのロータリーに、平木の運転する車が停まっていた。
早くと催促するように、車椅子からお父さんのスーツの裾を引っ張る。
だけどお父さんはキョロキョロしていて、まるで誰かがくるのを待っているかのようだった。
「お父さん……?」
誰かくるの?
「葵!」
そのときだった。
大きな声が聞こえたのは。



