それは咲も同じ。ツラいのは最初だけだよ。傷つけてごめんね。
離れる必要はなかったんじゃないか。もっと話し合えばよかったんじゃないか。後悔の念が浮かんでは消える。
自分の選択が正しかったかどうかはわからない。
咲の笑顔がまぶたの裏に焼きついて離れず、思い出すと楽しかった記憶が蘇って、涙がとめどなく流れた。
早く忘れてしまおう。
そうすれば大丈夫。
きっとまた、笑えるから……。
「ふっ……うっ……ひっく」
泣いても泣いても涙が枯れることはなくて、どうしようもないほどの咲への想いに胸が痛んだ。
会いたい……。
でも、会えない。もう二度と。
手を放したのは私なんだから。
中途半端な覚悟のまま咲と離れたから、こんなにもグラグラ揺れるんだ。
もっと強くならなきゃ。止まらない涙をぬぐって唇を噛んだ。
もう、泣かない……これが最後。
明日アメリカに発ったら本当の別れだ。
咲にはなにも言わずにいく。誰にも言わずにひっそりと、痕跡さえ残さずに。
これでよかったんだと何度も自分に言い聞かせて、手にしていたスマホの電源を落とした。



