「とりあえず、明日もまたくるから」
「……ないで」
必死に歯を食いしばった。そして、大きく息を吸う。
「もう、こないで……」
胸がヒリヒリして張り裂けそう。
こんなにツラいなら、最初から好きにならなきゃよかった。咲への想いが胸の奥深くを刺激する。
一緒にいたい、本当は。
でも、ごめんね……。
咲の気配はいつまで経っても病室から消えなくて、次第に鼻をすするような音が聞こえてきた。
ウソだよね、まさか……泣いてるなんて。
そんなわけないよね……?
だってあの咲だよ?
泣くわけないじゃん。
涙がドバッとあふれて止まらなくなった。
しばらくすると咲は無言で病室を出ていき、どうやら帰ったらしい。
これでよかったんだよ、これで。
もう会わない方がいい。咲のためにも、私のためにも。
涙が止まらなくて、この日は一睡もできなかった。
次の日はまるで廃人のようになにもする気が起きず、連絡がくるわけないのにスマホを何度もチェックした。
毎日欠かさなかった夜寝る前の『おやすみ』も、朝起きてからの『おはよう』も、全部なくなってしまった。
寂しいのは最初のうちだけ。
咲のいない生活も、きっとすぐに慣れる。



