私って最低。でもそれでいい。咲の幸せを願ってる。
「葵……好きだ」
「……っ」
咲の真剣な想いがストレートにぶつかってきて、激しく心が揺さぶられる。
「離れるなんて考えられない……っ」
うん、私もそう思う。
咲を想ってるから、ツラい顔はしてほしくないんだよ。笑っててほしいの。
私のせいで咲の笑顔が奪われるなら、この手を離すことを選ぶよ。
「もう解放されたい……いろんなしがらみから。待たれるのは、正直重いよ」
「……っ」
切なげに歪む咲の顔。ナイフで胸がえぐられるように痛い。
そんな顔しないで。
「だから、ごめん……もう無理」
呆然とする咲を避けるように、布団を頭からかぶって背中を向ける。
油断するとすぐに涙があふれてきて、耳の横を伝って枕に落ちた。
声を押し殺して、必死に歯を食いしばる。
まだ咲がいるんだから、今は出てこないで。
せめて咲が帰ってから、それまでは我慢。
「葵……」
返事はしなかった。ううん、できなかった。
傷つけたのにすごく優しい声で名前を呼ぶから、また涙があふれたの。
「俺は、好きだよ」
やめて。
「いつまでもお前のこと、想ってる。同時に葵の幸せも願ってる。できることならそばにいたい」
涙がとめどなくあふれて、嗚咽が漏れてしまわないようにシーツをギュッと握った。



