「アメリカにいけば助かる確率も、もしかしたら少しは上がるかもしれない……でも、迷ってる」
ごめんね、ウソばっかり。結論は出ているくせに。私はまたウソをつく。
「迷ってるって、なにを迷う必要があるんだよ。少しでも可能性があるなら、いくべきだろ」
肩をガッとつかまれ、ものすごい気迫が伝わってきた。
うん、咲ならそう言うと思ったよ。
「ひとつだけ条件があるの」
「待ってる」
「咲、聞いて」
「絶対に待ってる。なにがあろうと意見は変えない。俺、案外頑固だって知ってるだろ?」
「咲……ダメだよ。待たないで。それが条件」
楽になっていいんだよ。
助かるかどうかわからない私のために、これ以上苦しむ必要はない。
「俺、今まで失恋して落ち込むヤツの気持ちとか全然わからなかった……恋愛ごときに振り回されて、バカだなって……けどさ、今は気持ちがわかる」
「……っ」
「すっげー……ツラい」
ごめんね。
ごめん、なさい。
「ツラいけど、葵を好きじゃなくなることの方が俺には考えられないから……待ってる。葵が帰ってくるのを」
「じゃあ……いかない。待たないって約束するなら、いくよ」
こんなのすごく卑怯だ。