その日の夜、お父さんがお見舞いにきた。
仕事が忙しいはずなのにくたびれた様子は一切なくて、いつも通りの優しい表情。
お父さんは私を見て切なげに顔を歪めた。
「先生とも話し合ったんだが、アメリカへいかないか? アメリカは日本に比べて医療も進んでいるし、腕のいい医者を紹介してくれるそうだ」
「アメリカ……?」
「日本でドナーを待つよりも、アメリカへいって最先端の治療を受けよう。ゆくゆくはドナーもアメリカで見つかればと思っているんだ」
「え……?」
「仕事の目処もついたし、この先ずっとアメリカで暮らさないか? 日本にいるよりはずっといいだろう」
「そんな、ちょっと待ってよ……」
突然の出来事に頭が回らない。
この先ずっとアメリカで暮らす……?
最先端の治療を受ければ、助かるのかもしれない。
でも、日本に帰ってこられないんじゃ……意味ないよ。
咲と離れ離れになるのは嫌だ。
だけどこのままここにいても、私は助からないかも……。
どうすればいいんだろう。



