次の日、息苦しさはまだ抜けなくて起き上がることもできなかった。

夜もほとんど眠れなくて、私の人生ってなんだったんだろうって……。

考えたって答えなんて出ない。暗い闇の中にひとりポツンと取り残された感覚。

手を持ち上げるのもダルくて、一日中人形のように横たわりながら過ごした。

「葵」

優しく名前を呼ぶ声がしてそっと目を開けると、制服姿の咲がいた。

急いできたのか、髪の毛が乱れている。

「きてくれなくて、よかったのに……」

だって今の私はボロボロで、昨日からお風呂にだって入れていない。

こんなみっともない姿見られたくなかったよ。

「そんな言い方ないだろ。俺は会いたかったのに」

ぎこちなく笑う咲。最近ではずっと、そんな顔ばっかりさせてるね。

「ごめん……」

私だって本音は会えてうれしい。

でも申し訳なさの方が強い。

「謝んな、バカ」

頭を軽く小突かれて、私はたちまちなにも言えなくなった。

「そういえば、ライブ……いけなくてごめん」

すごく楽しみにしてたのに……。

「いいよ、気にすんなって」

「昨日も……助けてくれてありがとう」

「ああ……うん。ビックリした。葵が死ぬんじゃないかって……」

「あは、死なないよ。咲が言ったんじゃん」

「そう、だな」

そう言ってつぶやいた咲の頬がピクピクと震えていた。

「葵が死ぬわけ、ないよな。なに言ってんだ、俺……」

「そうだよ……」

「うん。変なこと言って悪い」

私は見逃さなかった。咲の声が、肩が震えていたことに。