──ピコンピコン

どこかから機械の音がする。

私はどうなっちゃったんだろう……。

そんな思考が戻ってくるのと同時に、ドクンと心臓が大きく脈打った気がした。

「んっ」

──ピコンピコン

一定のリズムを刻む音は、心音と重なって聞こえてくる。

そういえば、私……。

うっすら目を開けると周りに人が立っている気配がした。私に向かってなにか言ってるみたい。でも、機械の音しか聞こえてこない。

なに、これ。変なの。

「……い!」

視界がまだはっきりしない中で、耳元でかすれる声がした。

誰の声だったかな……。

とても懐かしいような……。

「葵っ!」

「さ、く?」

ああ、そうだ。咲の声だ。

「葵! よかった!」

私の顔を覗き込む咲の目が真っ赤に充血していた。

口には酸素マスクと腕には点滴が繋がっているのか、体が固まってしまったように動かない。

またそんな顔をさせちゃったね……。

謝りたいのに声が出なくて、もどかしかった。

「お嬢様!」

「葵!」

平木、それに……普段めったに仕事で家に帰ってこないお父さんまで。

すぐにここが病院の個室だとわかった。