一生に一度の「好き」を、全部きみに。


今日はふたりで楽しんで、笑い合えたらって。咲といられるなら、場所はどこだってよかったんだ。

「待ち合わせのとき、私、本当はいたんだよ……」

「?」

ほの暗い小さな水槽がたくさん並んだ熱帯魚のコーナーで、ボソボソと囁くように思いを吐き出す。

「咲、女の子と一緒にいたでしょ? 会話が聞こえてきて……去年のクリスマスは一緒にいたみたいなこと言ってたよね。それで私、色々妄想しちゃって……勝手にショック受けてただけ」

つらつらと言いたいことを全部並べる。

「家にいくからって言ってるの聞いて、付き合ってたのかな、今でも仲がいいのかなって……」

胸がヒリヒリして、張り裂けそう。

知りたくなかった。咲の元カノのことなんか。

自分以外の子を好きだった事実なんて苦しいだけだもん。

「それって、明日海のこと? 元カノって、なんで? 俺、葵が初カノだけど」

「えっ……?」

初、カノ?

「俺、去年のクリスマス、ライブに出てたんだ。そのとき明日海もきてたから、そのときのこと面白がって言ってただけ。あいつ、兄貴の追っかけやってて、俺に興味なんてまったくないと思うけど?」

「え……?」

「家にくるって言ってたのも、兄貴に会いにって意味だしな」