「迷子にならないように、俺がしっかり葵を見守っててやるよ」
「なんで私が迷子になるのよ。咲の方じゃん」
「葵はバカだからな。目離すとすぐどっかいきそう」
「そ、そんなことないもんっ」
ひどい。どうして子ども扱いしかしてくれないの。
手を繋ぐだけでこんなにドキドキしてるのに、咲はなんとも思っていなさそう。
もしかして、慣れてるから?
だとしたら、今まで誰とそんなこと……。
ふと頭に浮かんだ明日海さんの顔。すごくかわいくて、ふたりはとてもお似合いだった。
私なんかよりもずっと……。
ああ、ダメだ。
考え出すとネガティブ思考が止まらなくなっていく。
ジワジワと涙まで浮かんできた。
だけど泣かない。こんなところで泣くなんて、みっともないもん。
今日は楽しい一日にするって決めたんだから。
ずっときてみたかった水族館だったけど、 テンションが下がってしまって心の底から楽しめない。
水族館のマスコット的キャラであるイルカやペンギンを見ても、それは同じだった。
「なんかあるだろ? 思ってることははっきり言えよ」
こんなはずじゃなかった。



