一生に一度の「好き」を、全部きみに。


それでもなんとかふんばって、咲の前に姿を現す。

「おはよう」

「おう。元気か?」

「ちょっと、なにその元気かって」

元気そうに見えないってこと?

「いや、体調どうかなっていう俺なりの気遣い」

気遣い……。

そっか、咲は優しいもんね。

でもそんな気遣いをされるとちょっとヘコんでしまう。

私ってそんなに弱々しく見えるのかな。

そりゃあ咲は全部知ってるから、私を心配する気持ちもわかる。でも……。

「葵?」

「え?」

やば、ボーッとしてた。

「やっぱ具合いが悪いのか?」

「ちがうよ、全然大丈夫! さ、今日は全力で楽しもう!」

余計なことは考えるな。今は目の前の咲にだけ集中しよう。

せっかく楽しみにしてたデートなんだから。

「行き先考えたのか?」

「うん! 水族館にいきたい!」

「水族館?」

思いっきり眉間にシワを寄せる咲。

「どこでもいいって言ったでしょ。私は水族館にいきたいの」

「嫌とは言ってないだろ。わかったよ」

「ふふ、やったぁ」

路線図で水族館までの行き方を調べてから切符を買って電車に乗った。