一生に一度の「好き」を、全部きみに。


放課後は毎日一緒に帰るのが日課。黒いマフラーで首から口元まですっぽり覆った咲と、並んで駅までの道を歩く。

せめて手くらい繋ぎたいんだけどな。

「なに?」

「え、あ、いや。なにも」

ダメ、自分からそんなこと言えるわけない。

断念して別の話題を探す。

「あ! そういえば、咲はクリスマスどうするの?」

「夜に家でケーキ食うだけ」

「へぇ、そっか」

咲らしいといえばそう。遠くを見つめるその横顔には、クリスマスなんてこれっぽっちも興味がなさそう。

そうだよね、男子なんてそんなもんか。

「デートする?」

「え!」

「女子はイベントが好きだもんな」

「するっ!」

「返事はやっ」

なんて言いながらクスッと笑う咲。

女子ってひとくくりにまとめたのは、他にも誰かとクリスマスにデートしたことがあるから?

そう考えたらモヤッとした。

いやいや、なに勝手に想像してモヤモヤしてんの。

ただ単に言っただけかもしれないのに。

「どこにいきたいか葵が決めろよな」

「え、私?」

「俺はどこでもいいから」

「わかった、考えとく!」

純粋にデートできるのはうれしい。

どこがいいかな。クリスマスだし、きっとどこも人だらけだよね。

それでも思い出に残るクリスマスにしたい。