運命って生まれたときから決まっているもの。
咲と出会ったのが運命なら、好きになったのも運命で、きっとどうもがいてもその結末は変えられない。
「おいバカ面、なにひとりで浸ってるんだ?」
「なっ!」
昼休みの屋上であとからきた咲に顔を覗きこまれた。
「バカ面って、ひどいっ」
ムーッと頬を膨らませると今度は「ガキ」と笑われた。人差し指で頬を突かれて、私はプイとそっぽを向く。
「葵ってあれだよな」
「なに?」
「弱々しい顔で、ときどきすっげー遠くを見つめてる」
「え?」
弱々しい顔?
「思わずバカ面とか言いたくなるほど、儚げな顔してんだけど」
「そ、そんな顔してないよ。思わずバカ面って、傷つくんですけど」
「してる。なに考えてたわけ?」
今日の咲は痛いところを突いてくる。
「いつまでこうしていられるのかなって、ふと思っただけ」
そう言うと、咲が小さく息をのんだのがわかった。スカートの上に置いた手に、咲の手が重なる。
「べべ、別に咲と一緒にとかそういう意味で言ったわけじゃないから」
「ずっとだよ」
「え……っ」
「ずっと一緒に決まってんだろ」
弱々しくも力強い言葉。
うつむき気味の咲の頬がほんのり赤くなっていた。



