学校ではいつも以上にみんなからの視線を感じた。

「よう」

ドキン。

振り返らなくてもわかる、低い声が誰のものなのか。

「顔色いいみたいだな」

「あ、うん。おかげさまで」

ドキドキする。それに顔もすごく熱い。赤くなってるのバレてないかな。

目を合わせられず、咲はそんな私に眉をひそめた。

「どうしたんだよ?」

「べべ、別に……!」

「めっちゃキョドってんじゃねーか」

「なんでもないってば」

「変なヤツだな」

咲はそう言いながらスクールバッグを机に置く。

そこでふと、クラスメイトたちの視線が私たちに集まっていることに気づいた。みんなこっちを見てヒソヒソ言ってる。

「あのふたり、デキてるの?」

「お姫様抱っこしたい異性だもんね。あっやしー!」

「リレーに出ずに神楽さんに付ききっきりだったみたいだし」

「いいなぁ!」

めちゃくちゃ噂になってる。

そりゃそうか、かなり目立っていたもんね。

そのせいで注目されちゃってるのかな。

「もしカレカノなら、ビッグカップル誕生じゃない?」

「たしかに!」