腕で隠れて表情はわからないけど苦しそうだ。
「全然、余裕……!」
「ウソ、絶対重かったよ。それなのに抱えて走らなくても……」
「仕方、ないだろ。はぁはぁっ。他の女、抱えたくなかったんだよ……っ」
え……?
どういう、意味?
『全員ゴールしましたね。では、お題を発表していきましょう! まずはビリの人のお題から!』
お題発表でまた盛り上がり、借り物競走はさらに白熱した。
『さーて次は一位の鳳くんのお題を発表します!』
みんな咲のお題が気になったようだ。当然だけど私も。ドキマギしながら発表を待つ。
『お姫様抱っこしたい異性! お姫様抱っこしたい異性というお題でした! 正式にはお姫様抱っこしたい異性を抱えながら走る(ただし男子限定。女子が引いちゃったら、別のお題を引いてね) !です。鳳くん、当てにいきましたね!』
お姫様抱っこしたい異性……。
それが、私……?
『他の女、抱えたくなかったんだよ……っ』
どうして?
『えー、これはとても意味深なお題でした……! ふたりの関係性が気になるところです。時間が押しているのでこれにて終了です』
「マジで焦ったー。こんなの勘弁しろよな」
ボソッと悪態をつく咲。
そうだよね。ちがうよね。咲が私を選んだことに特別な理由なんてなくて、ただ私が一番仲がいいからってだけ。
そう、だよね……?
ドキンドキンと激しく胸が高鳴って、なんだかとても落ち着かなかった。



