「なんなの? いい子ぶっちゃって」

「葵がいつ瀬尾さんたちのことを見下した? いつ逃げたいって言った? 何事も一生懸命やってるじゃん。少なくともあたしはあんたたちより葵のことを知ってるんだから、あたしの親友を悪く言わないでっ!」

「か、花菜……」

こんなときなのにその言葉に胸がジーンとした。

やばい、涙が出そう。

親友って、私のことそんな風に思ってくれてたんだ?

「はぁ? なんなの、偉そうに。超ムカつくんですけど」

瀬尾さんは全然納得していないような感じ。それどころか、ますます険悪なムードになった気さえする。

花菜がここまで言ってくれたんだから、私もきちんと向き合わなきゃ。

怖いからって逃げてるだけじゃ、なにも変わらない。

「私、なにかしたかな? 無意識のうちに瀬尾さんの気に障るようなことをしたんだとしたら申し訳ないから、ちゃんと教えてほしい」

瀬尾さんの目をまっすぐに見てそう伝えた。

「存在が気に入らないの。鳳くんと仲良いからって、調子に乗らないでくれる? 目障りなのよ!」

面と向かって吐き出された鋭い言葉が容赦なく胸に突き刺さった。

「彼女気取りだかなんだか知らないけど、優しくされて当たり前みたいな態度がムカつくのよ! ホントイライラするっ」