16話「夏の青空は眩しく」



 望の口から出てきた言葉は、緋色の予想をはるかに超えたものだった。
 自分が望と茜の実の子どもではなかった。それが衝撃でしかなかった。


 「わ、私が………養子……?」
 「あぁ、そうだ。緋色は私と茜が施設で見つけた子どもだ。…………今まで黙っていて悪かった。」
 「…………そんな………どうして………。」


 緋色は自分でも驚くぐらいに動揺していた。
 養子でも、子どもの頃からよくしてもらっていたじゃないか。血が繋がっていなくても、固い絆で結ばれていれば大丈夫じゃないか。
 そう思ってからハッとするのだ。
 その記憶がない緋色には、父や母との絆なんてあるのだろうか、と。

 それが怖くて、緋色の体が震えた。
 恐怖からくる震えを抑えようと自分の体を両腕で抱きしめるが、止まる事はなかった。