「2人はいつの間にかそんなに仲が良くなっていたのだね。………確かに、緋色の事は泉くんに任せておけば大丈夫だろうな。」
 「…………お父様。では………。」
 「泉くんが言った通り、きっと今の緋色との関係を茜が見たら悲しむだろうな。私は茜に怒られてしまう。それだけは嫌だからな。………それに、最愛の娘に嫌われるのは結構辛いものだからね。」


 望は苦笑をしながら緋色と泉を見た。
 泉はいつものように柔和な笑みを浮かべているが、緋色は少し申し訳ない気持ちになる。そして、父の気持ちが変わったことにより、本当の話が聞けると緊張した気持ちになる。


 「……………話していただけるのですね。」
 「あぁ………。だが、緋色。もし記憶の事で頭が痛くなったり、気分が悪くなったらすぐに教えるんだよ。」
 「はい。わかりました。」

 緋色がそう返事をすると、望はゆっくりと頷き、1度姿勢を正すために椅子を座り直した。
 そして、手を組んで静かに目を閉じた後、口を開いて真実を語り始めた。


 「始めに言っておこう。緋色は私が別の女性と関係を持って、その女性との子どもが自分なのではないか。そう思っていたようだが、それは違う。」
 「………では………。」




 「緋色、君は私と茜の元に来てくれた、養子なんだよ。」