その言葉が今までの緋色がどれだけ欲してのか。
 緋色は彼のその言葉を聞いて実感出来た。


 誰かが手を伸ばして助けてくれる。
 この人ならば、本当に信じていいのではないか。

 そんな人と出会いたかった。



 出会ったばかりの人を信じすぎなんて、本当ならば、怖いはずなのに。どうして、彼は信じてもいいと思うのだろう。
 けれど、緋色の頭が、体が、そして心がそう言っているのだ。
 

 「彼なら大丈夫。」と。


 緋色は次から次へと涙を溢しながら、泉が抱きしめてくれるぬくもりを感じて、ホッして目蓋を閉じた。



 今だけでもいい、彼に甘えてみよう。
 緋色は緊張を解き、そっと彼に体を預けるのだった。