「事故に遭ってからお母様の事を知ろうと思って、実家にあったアルバムを少し見せて貰ったの。子どもの頃のしか見つけられなかったんだけど、お母様を姿を見たら少し懐かしいなって思えて嬉しかったんだ。思い出はそこまで詳しく思い出せないけど、写真を見てこれは動物園に連れていってもらったのかな、とか、誕生日プレゼントのかな、とか見てわかる写真があってよかったなーって思いながら眺めていたの。そしたらね、そのアルバムが置いてあった本棚の端に何か古びた紙が挟まっているのをみけたの。お父様の経済書が乱雑に置いてあったあって、そこに挟まっていたの。それが何故か気になって私はその紙を手に取ってしまったの…………。」
緋色はそういうと、1度目を瞑ってからその手紙の内容を思い出す。今でもはっきりと覚えている。あの手紙の文字を見た時の衝撃を。
「それはお母様がお父様に書いた手紙だったの。見るのを躊躇いながらも、どんな愛の言葉が綴られているのか、とても気になってしまって見てしまったわ…………。短い手紙だった。そこにはこう書いてあった。『私は望さんが好きですが、もう諦めます。違う人と一緒になってください。そして、幸せになってください。』と書いてあったの。」
「…………そんな………。」
「…………それを見てすぐにわかったの。お父様が他の人と恋をしていたのをお母様が知っていた事を。だから、お母様はそんな手紙を書いたんだって………。私はお母様とお父様は仲が悪かったんだなってわかったの。………もちろん、お父様にも問い詰めたわ。そしたら、その手紙の事をお父様は否定をしなかったの。」