「じゃあ、まずは………名前の呼び方を変えましょうか。俺の事は、泉さんじゃなくて、泉くんとか、泉って呼んでください。あ、緋色さんが考えたあだ名でもいいですよ。」
 「え!?名前も………?」
 「もちろんです。」


 他の事を考えてしまっていた緋色に、泉がハードルが高いことを要求してきたので、頭の中で考えることを1度止めた。
 男の人の名前をくん付けや呼び捨てで呼ぶなど、とても緊張することだった。さん付けでしか呼んだことがなかったので、緋色はもちろんあだ名など付けられるはずもない。


 「あのあだ名はちょっと………難しいです。」
 「では、どんな風に呼んでくれますか?」
 「い、泉…………くん。」


 呼び捨てなど呼んだこともなかったので、1番呼びやすい呼び名で彼の名前を言葉にした。
 たった1文字しか変わっていないのに、どうしてこんなにも恥ずかしい気持ちになってしまうのだろうか。不思議だ。

 また、頬を赤くしてしまった緋色を見て、泉はまた嬉しそうに「はい。」と、返事をした。
 それだけで、心がくすぐったくなる。