「きっと君達なら大丈夫だろう。乗り越えられる」
 「はい………」


 椋の言葉に、緋色は力強く頷いた。
 隣にはずっと見守ってくれた彼が居る。これほど力強い事はないのだ。
 辛い事を思い出さないというのは難しい。けれども、そんな時に支えてくれる人がいる。甘えてもいいよ、と言ってくれる恋人がいる。
 それが、緋色にとってとても大きな力となっていた。


 「また何かあったら連絡してください。必ず、助けます」
 「そうですよ!椋先輩は強いですからね」
 「まぁ………空手の日本選手には負けますよ」


 後ろに座っていた後輩の遥斗の言葉に、椋は苦笑しながらそう言って、2人を見送った。