エピローグ




 緋色の調子が良くなってから、助けて貰った椋という警察官のところへ行き、事情を説明した。
 緋色の事件を担当していたのが、椋の先輩の滝川という男だったようで、椋もその事件を知っていた。
 そのため、緋色にはなるべく負担がかからないようにと、短い時間で話しを終えてくれた。


 「君を誘拐した男の話。してもいいか?」
 「………はい。大丈夫です」


 帰り際に椋はそういうと、捕まっている男について教えてくれた。わざわざ調べてくれたというのだから、優しい人だ。
 

 「しばらくは出てない。2回も同じ事をしているんだ。反省していないと判断されても仕方がないからな。それに、今回は薬もやっていたようで、出てきてもしばらくは病院に行くことになるだろうな」
 「そうですか………」


 緋色は少し安心しながらも、鼓動が早くなっているのを感じた。そして、少しだけ手が震えている。

 すると、隣に座っていた泉が緋色の手を掴みニコッと微笑んでくれた。それを見ただけで緋色は少しずつ落ち着きを取り戻していった。

 そんな様子を見てか、椋は安心した様子で柔らかい表情で微笑んだ。