「今の君は、私には敵わない。それは、力でも知識でも、地位でも財力でも……全てで敵わないんだ」
 「そんな事ない。俺はあいつを誰よりも愛してるんだ!」
 「愛してるだけでは生きていけなきんだよ。君はお金も家もない。どうやってご飯を食べて、温かいところで眠るんだ?」
 「それは………」
 「私はね、緋色ちゃんに全てをあげられる自信がある。けれど、なれないものがあるんだ」
 「え…………」
 「緋色ちゃんの恋人だよ。私は親になるんだ。彼女の恋人にはなれない」


 そういうと、望はニッコリと微笑んだ。  
 泉は彼の言葉を聞いてハッとした。自分が、その恋人になればいいんだ。そうすれば、きっと彼女とずっと過ごしていける。
 それがわかった時、泉は両手をギュッと握りしめた。