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 緋色と泉は同時期に両親を亡くしていた。
 緋色は、事故で両親や親戚を亡くしており、5歳の時に施設に入所した。
 泉は、結婚をしていない相手との子どもを妊娠した母親が、出産したはいいが育てられずに施設に置いていったと、聞かされていた。泉が0歳の頃だった。
 

 そんな母親に育てられるよりも、施設に居た方が幸せだった。
 そう思えるぐらいに、泉にとっては施設での生活は苦になるものではなかった。

 その理由は、緋色に出会えたからだった。
 彼女の記憶は曖昧だったけれど、6歳の泉は、何よりも緋色が大切だった。
 
 泉が入所してきてから、緋色は泉をとてもよく可愛がっていたそうだ。
 それも全て施設の人から聞いた話だ。