「緋色ちゃんが元気になってよかったよ」
 「ありがとう。心配かけてごめんね。おかげさまで元気なったよ。」


 トレーニングから戻ってきた泉と一緒にご飯を食べた。緋色はまだお粥だけにしたが、彼にはご飯と味噌汁、鶏ささ身のサラダと目玉焼き、そしてヨーグルトと果物を準備していた。泉はいつも「おいしいよ」と料理を褒めてくれるので、毎日頑張りたくなってしまうのだ。


 「それで怖い夢は見なかったって言ってたけど、どんな夢を見たの?」
 「すごいいい夢だったよ。海外のおっきな図書館に行って、ずーっと本を読むの。日本語で書いてないのに、読めちゃうところが夢なんだろうけど」
 「本好きの緋色ちゃんにはたまらない夢だね。俺も羨ましいよ」
 「うん!今日はいい事ありそうだなー」


 緋色はレンゲでお粥をすくい、口に入れながら微笑んだ。きっと今日は良い1日になると確信していた。



 けれど、緋色の予想とは反対に、大きな事件が起こるとは誰も考えもしていなかった。

 緋色の運命を変える日となるのだった。