「それにね。何だか、この香りに包まれていると、怖い夢を見ないような気がするだ。それに、隣には泉くんがいるから、怖い夢を見ても大丈夫だって思えるし。………1人で寝るのは少し怖いけど。今日は怖い夢、見ない気がする」
 「そっか。じゃあ、もっと強く香るように、ぎゅっとしてあげる。」

 泉は緋色の肩を優しく抱き寄せて、片腕で包み込んだ。すると、彼が言ったように先程よりもピンクシュガーの香りが強くなる。
 

 「何だかお菓子の夢を見れそう」
 「それはいいね。………そろそろ寝ようか。今日はきっと疲れただろうしね」
 「うん………おやすみなさい」

 「おやすみ、緋色ちゃん」

 2人はどちらともなく唇を寄せ合いキスをした。終わった後にお互いに微笑み合う瞬間がとても好きで、緋色は彼の胸に顔を埋めながらキスの余韻に浸り、目を閉じた。

 昼間から眠いのを我慢していたお陰で、すぐに眠気がやってくる。
 眠ってからあの夢を見るのではないかと不安になる。けれど、そう思うと彼の体温と甘い香りを感じ、ふっと力が抜ける。
 大丈夫。彼が守ってくれる。

 そう信じて、緋色は深く眠りについた。