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 緋色が目をさますと、もうすっかり朝になっていた。いつも隣りで眠っている彼もいない。
 ハッとして、時計を見ると午前10時となっている。半日以上寝てしまっていたのだ。


 「うそ…………。会社に電話してない!」


 緋色は飛び起きてサイドテーブルに置いてあるはずのスマホを取ろうとしたが、そこには見つからなかった。

 部屋を飛び出し、リビングに向かうと緋色のバックがテーブルの上に置いてあった。そのから、バックを取り出そうとした時だった。
 バックの隣に置き手紙とラップに包まれている、サンドイッチと果物が置かれていた。
 置き手紙には「会社には休みの電話いれておいたからゆっくり休んで。昼過ぎには帰ってくるよ。家から出ちゃダメ!」と、泉の字で書かれていた。


 泉が会社に電話してくれたのはありがたかった。緋色はスマホを開き、上司に電話をした。
 昨日倒れてしまい、今まで起きれなかった事。自分が休みの連絡を出来なかった事を謝罪した。上司は『目が覚めたようで安心したよ。明日も無理そうだったら連絡して。有給は沢山残ってるんだ』と言ってくれたので、緋色はホッとした。そして、『愛音くんが君と話したいみたいだ。』と、愛音にも電話を変わってくれた。