21話「七色のドレス」




 花の模様が配われている薄いレースのベール。
 裾が長く広がり絨毯の上に流れるドレスは、胸元がベールと同じ刺繍が入っている。ウエストの部分からふわりと広がり、女性らしさを感じさせるデザインになっているドレス。
 首元や耳にはキラキラと光る宝石がついたアクセサリーがついている。かすみ草がデザインされたもののようで、緋色のお気に入りだった。髪はハーフアップにされており、淡い色のドライフラワーが華やかに咲いていた。


 楪家は呉服屋も経営しているという事もあり、和装での結婚式も考えた。白無垢も憧れている。けれど、泉が持ってきてくれた教会のステンドグラスがどうしても気になったのだ。あそこで式を挙げたら、きっと忘れられないものになる。あの場所で大切な人に幸せな姿を見てもらいたい。そう強く思っていた。父である望もドレスや白無垢などは、着たいものを本人が選べばいいという考えだったので、緋色は今身に付けているドレスに決めた。

 教会の近くにある貸衣裳のお店に泉と訪れた際、何着か候補を決めて着させてもらったけれど、始めに着た今のドレスを泉が絶賛しており、緋色も気に入っていたので、その刺繍が華やかなウエディングドレスに決めたのだった。