「あ、あのね………この間、職場のカフェで泉くんと女の子が一緒にお茶しているところを偶然見かけたの。その、すごく楽しそうだったし………その女の子も可愛らしかったしで………その、ど、どんな関係なのかなーって気になって」


 緋色はおどおどしながらも、彼に自分が目撃した情報やその時の様子を伝える。
 すると、予想外の事だったのか、泉はポカンとしたあと、フッと顔を和らげて微笑んだ。


 「緋色ちゃん、それ見た時にどう思ったの?」
 「えっと………その………モヤモヤして、寂しかった………」
 「………そっか。」


 そう言うと、緋色の顔を覗き込みながら、泉はにっこりと微笑んだ。


 「それ、すごく嬉しい。」
 「………え………」
 「だって、俺が他の女の子と会ってて、心配してくれて、悲しくなってくれたんでしょ?それって、どういう事かわかる?」
 「……………うん」


 緋色は1度目を瞑って、自分自身で思った事を口にした。
 これこそ勇気がいる言葉のはずなのに、緋色はすんなりと声が出た。