───宮野 燐───がいた。



「女子が5対1、ねぇ」

「っ!燐、くん···?」


さっきまで顔を真っ赤にしてたのに今度は真っ青にしながら、宮野くんの名前を呼んだ


「こ、これは違うの!ちょっと···話を·····」

「ふっ、話?これが?」


嘲笑うかのように零された言葉に誰もが口を閉ざし、静かな空気が流れた

こんな空気なんともないと、言わんばかりに沈黙を破ったのは他でもない、宮野くんだった


「彼氏が目移りしたからって、こいつに手、出すのおかしくね?」

「でも!それは、この女が、たぶらかして告白させたからで·····」


「····(いや、だから、たぶらかしてなんていませんって何回言ったらわかるの!?)」

言いたいけど、言ったらめんどくさい事になるから黙っておこう!


「はぁ···そんなん、こいつ関係ないだろ。そもそも悪いのは彼女がいながら告白した彼氏だろーが。」


宮野くんの気迫に怯えたのか


「····っいこ!」

走り去っていく5人組


「ふぅ、やっと落ち着いた。
あ、宮野くん!」

「何?」

「巻き込んでごめんなさい!それから、ありがとう!助けてくれて」

「どういたしまして。····てかさ名前·····教えたっけ?」


急にそんなことを聞かれたから素っ頓狂な声が出てしまって


「へっ?···あ、学校1のイケメンって噂されてる人の名前はさすがに覚えるよ。」

「あーなるほどね。·····なぁ、」


小首を傾げながら

「なに?」

聞いたら

「名前、教えてよ」

「·······え?」


言葉の意味を理解するまで5秒


「えーと、私の名前?」

「他に誰がいんの?」


ですよねー。なんて考えながらも


「天川佑海····です」

「ふーん。·····佑海ね」


「これから、よろしくね?メル」

「な、なんで、それ知ってるの?!」



「さて、なんででしょう」


次に会った時答え合わせな、静かに笑いながらそう言って、遠くなる背中を見つめたまま私は陽茉莉が来るまで固まっていた




この時から運命はブルーとミルクティー色に染まっていたんだ