蘇芳伊織くんは、、転校初日からあっという間に人気が出て、一躍時の人となった。

ルックスも頭もいいし
物腰も穏やかで、まるで王子さまのような彼を女子は放っておかなかった。




蘇芳くんと、縁は前からの知り合いのようだった。
時々二人で話ししていることも見かける。

縁の妹という立場もあって
蘇芳くんはわたしにも

校舎で見かけると声をかけてきてくれたり、あいさつを交わすようになり、蘇芳くんとも話をするようになった。

そして、縁が前に言っていた
蘇芳くんには大切な人がいるっていう意味がわかるようになってきた。

時々、蘇芳くんの視線がずれている時があって、辿ると
小柄でふわふわした雰囲気の可愛い女の子がよく見えていた。
真っ白な肌に
大きな瞳。

遠くにいる彼女をまぶしそうに、辛そうにいつも見ていた。

しばらく見つめてから、
悲しそうに視線を外すのは、
彼女の隣にいつも彼がいるから。

学校でも知らない人はいない、
2年生の蓮見周。

成績も外見も文句なしの彼が、彼女の隣にいつもいる。

蘇芳くんの思いを知れば知るほど
自分と重ねてしまう。

言いたいのに
叶わないとわかっているのに
側にいけないとわかっている恋をするのは

とても

辛いことを

わかっている。