下に降りて行くと、

『あら~橘さん♥️
言ってもらえれば、
こちらから出向きましたのに』

『いや、息子がお世話になってるのでね…』

チラッと盗み聞き…
橘って言ってたよね…

『あかり、』

『璃空っ』

『俺の事、』

璃空はそう言うと
私を連れて出ていった。

『若っ!!』

やっぱり、璃空の事だったんだ…
と、見知った顔を見つける…

『さくっ!!』

『姉ちゃん!!へっ?!若のっ?!』

『さっきから、若、若って
俺、継がねーし、
あかり、絶対何か勘違いしてる』

『勘違い…?!姉ちゃん…??』

『えーーっと…』

しどろもどろになる私を見て
璃空は真剣な顔をして

『父さん、ここまでしてもらって
本当にありがたく思っています。
ですが、橘ホールディングスを
継ぐのは、弟の櫂(かい)でお願いします。
俺はパティシエの仕事が好きで
この場所でやっていきたいんです。
彼女とみんなと一緒に。』

璃空…