団地の入口にもたれて立っている一生君を

私のほうが早く見つけた。

ゆっくり立ち止まって深呼吸をする。

私の視線を感じたのか、一生君は私に気付くと、一瞬気まずい顔をした。
私は思わず走り寄って

「ごめんね!……電話出なくて…ごめんね…」

それだけ言って 
俯いた。

「………嫌われたかと思った…」

一生君が笑顔でそう言ったから

私の自己嫌悪はますます募った。

「嫌うなんて…あるわけないよ。
どうしたらいいかわからなくて…」

「俺も笑」

「え?」

「俺もどうしていいかわかんなかった笑」

二人で笑った。

「今まで通り、仲良くしてください。お願いします!」

一生君は敬語でそう叫びながらおじぎをしたから

私はまた笑ってしまった。

「よろしくお願いします。」
私も敬語でおじぎを返した。

それから

どちらからともなく、私達はユウキ君の家の方へ歩き始めた。