A棟 105

一階の角部屋。

小田

という表札のある玄関を大地君は慣れた様子で開け、

「来たよー!」

と大きな声で叫んだ。

中から出てきたのは背が高くてがっちりした体つきの男の子。
切れ長なのに存在感のある目がちょっと怖い…


「こんにちは!おじゃましまーす!」

女子3人、よそいき100%の美声で微笑む(笑)

「狭くてごめんねーでも誰もいないから遠慮しなくて大丈夫だから!」

大柄の男の子はこの部屋に住む、小田ユウキ君。
見た目と違ってすごく優しい言葉をかけてくれた。

「やばーい!」

小さい声でそう言ったマリの目がハートになったのを私は見逃さなかった笑

「和美ちゃん!」

上がろうとした私に大地君がストップをかけた。

「え?なに?」

脱ぎかけた靴を履き直す。

「一生がさっき待ち合わせたところにいるんだよ…話があるから来てほしいって…」

ドキンっ!
胸が大きく鳴った。

暫く固まって

「わかった…」

閉めたばかりの玄関のドアを思いっきり開けた。
さっきより重く感じたのは気のせいではない…はず。