「ライン…教えて?」


おしりのポケットからスマホを出して


私に見せた



「え…?……あ……はい!」



私は慌ててスマホを出すと


お兄さんの近くまで歩いて行って


しゃがんだ。


スマホ同士を近付けて




振る





きた……っ



友達に追加すると


お兄さんはスマホを


おしりのポケットにしまった。





私はまた立ち上がったけど


どうすればいいのかわからないのと


意味がわからないのとで


頭の中がパンクしそうだった。




お兄さんはタバコに火をつけて


空に向かって大きく吐き出した




「飲めば?」




「えっ…?」



「それ」



「あっ…」



私の手の中には


さっきの缶コーヒーが2本



忘れてた…


すっかりぬるくなった缶コーヒー



「……どうぞ…」


1本お兄さんに差し出すと


一瞬びっくりして


「フッ…」


ちょっと笑って受取ってくれた。




胸がキュンとなる……





「座れば?」


「え……あ……はい」



私は恐る恐るお兄さんの横に座った


イブの夜に


座ったベンチより


小さくて



近い…



かろうじて触れない距離を


私は保つ



お兄さんはなんにも言わない。



イブの夜と


同じ




ただ隣に座ってる





寒い……





私は缶コーヒーで両手を温める。





「あの……」


「……ん?」


「あの……さっきの……手筒花火……すごく……素敵でした…

  私…初めて見たんです……感動っていうか…すごい迫力で…
  
  お兄さん……すごいなーって……」




目が合う


お兄さんは優しく笑って



「俺、お前の兄ちゃんじゃねーし。」


「え………」


「お兄さんって(笑)」


「ユウキ君の…お兄さんだから…」





「名前で呼んで」