チャポーン…チャポーン…


ギィィー…ギギィィー…





ロープで縛り付けてある釣り船が

波に揺れている




私を連れたお兄さんは

周りをキョロキョロ気にした様子で

静かな場所を

探して歩いているみたいだった。



私は頭の中が真っ白で

後ろについていくのがやっとだった。



「和美」




男の人に名前で呼ばれたのは


初めてだった



ユウキ君は


わけがわからないって顔をしてたけど

とりあえずうなずいた。


マリの


「はっ??え、?え、??何何??」


って声が

後ろから聞こえたけど


答える時間も余裕もなかった。




ひたすら歩いて人気のない所まで来ると


お兄さんは大きい流木に座って



私を見た