港はたくさんの人で溢れかえっていた。

ユウキ君は迷うことなくスタスタ歩いていく。
お財布を渡し忘れていたこともあってか、急いでいるから

私達は遅れないように必死で付いていく。

漁協に行くと長いテーブルやパイプ椅子がたくさん置かれていて

あちらこちらで宴会が開かれていた。


「兄ちゃーん!!」

ユウキ君が大声で叫んだ


ドキッ!!

鼓動が速くなる

あっ…


いた…!


ベージュのチノパンに黒いダウンジャケット

さっきの姿と全く違う
ラフな格好をしているその人は


周りの人より頭いっこぶんくらい高い金色の髪の毛が

人混みの中で存在感を放っていた。





「お前さー!忘れんなよ!」

ユウキ君に気付くと、

怒ったような
呆れたような様子でこっちに近づいてきた。




「ごめんごめん!はい、これ、財布にスマホね!」


ユウキ君からお財布を受け取ったお兄さんが、目線の先にいる私達に気がついた。