ユウキ君の説明によると

去年、お兄さんは手筒花火に初めて参加して、いきなり一番を取ったとのこと。

お兄さんは危険なのを承知で

一番高く

一番大きく

一番激しくなるように

花火を作らせ

それを自ら先頭に立ってかついだんだって。


今年も

もちろん、2連覇を狙っている。


「修司さんかっけーよなぁ〜!!」

ユウキ君の友達が口々に言うから

ユウキ君は終始得意げだ。


「和美、見てあれ…」


マリがそう言って指を指した先には

「みんな兄ちゃんのファンだよ、」

ユウキ君が笑いながらそう言った。

女の子が何人か取り巻いていて


その周りにも

あちこちに

女の子の姿があった。


よく見ると


みんな

ユウキ君のお兄さんを見ていた

「兄ちゃんリードの頭やってたし、この辺じゃ結構有名人で、元々すごくモテてたけど、去年手筒花火デビューしてからすごいんだよ、」


「リードってなに??」
マリが聞いた。

「暴走族(笑)」

「えっ?!」


私とマリが同時に叫んだ

暴走族の……リーダー…!?



「いやーあれじゃモテるのわかるよー!ねー?和美!」

「え?!…うん、そうだね!かっこいいもんね!」


胸が痛い



私はみんなに気づかれないように必死で装う。





でも視線はくぎづけだった。


短髪の金髪

日に焼けた肌に

筋肉質の体が綺麗だった。

上半身むきだしの体は

男の人なのに

凄く色気があった。

背が高いからだけじゃない

みんなの目を引くオーラがあった。


暴走族のリーダー…


心の中で何回も繰り返す


私の視線の先にいるその人は

人だかりの中心にいて笑っている。


すごくすごく

遠くに感じた