年末年始は特に何も予定はなかった。
ピアノの練習もあったし。


あっ、…少しだけ私の話を…


私の家族は3歳年上のお姉ちゃんと、お母さん。

お父さんは私が中学一年の冬

癌で死んじゃった。

癌が見つかった時には既に手遅れで


告知から亡くなるまでたった半年だった。

私はおとうさん子だったから

本当に辛かったけど

思春期特有の羞恥心からか

人前で泣いたり悲しんだりはしなかった。

お葬式の次の日から普通に学校生活を送ってたから

最初は周りも気を使ってくれたけど、

そのうちいつもの日常に戻った。

でも毎晩ベッドの中でこっそり泣いてた。

辛くて辛くてたまらなかった。

3年たった今でも、どうしようもなく悲しくて泣くことがある。

そんな私の心の拠り所は大好きなピアノだ。
ピアノを弾いていると悲しい気持ちが少しだけ癒える気がした。



3つ上のお姉ちゃん、新井舞子は19才。

短大の保育科に通っている。

うちはお母さんがパート勤めで生活は厳しい。

お父さんが遺してくれたお金と生命保険があるからやっていけてるんだって、いつもお母さんが言っている。


だから

お姉ちゃんは短大に通いながら 夜は、水商売をしている。



店のナンバー1で、サラリーマン並みに稼いでるみたいだけど、自分の学費と、私のピアノにかかるお金をそこから出してくれていて

本当に感謝してるし、すごいなって思う。


「和美はやりたいこと頑張りな!」

っていつも言ってくれて

音大の学費や生活費もお母さんとお姉ちゃんでなんとかしてくれるって


私はもう、感謝しかない。

そんな感じで

お父さんが亡くなってローンの支払いがなくなった分譲マンションで3人で暮らしています。