放課後、マリナとミカの
誘いを逃れるために
速攻で教室を出た俺は
本屋に寄って漫画でも買って帰ろうかな
と思いながらゆっくり歩いていた。
その時
「佐野君!!」
幻聴だろうか、
今、立花に呼ばれた気が…
「ねぇ、佐野君ってば!!
聞こえてる?」
暖かい手が肩に乗ったと思えば
目の前には立花のむくれっ面があった。
「…っ!おお、わりぃ。…なに?」
正直近すぎて心臓バクバクだし、
むくれっ面が可愛すぎて
どうにかなってしまいそうだけど
それを必死に隠して
何事もなかったかのように振る舞う。
立花とこうして面と向かうのは
今と合わせて数えるくらいしかないのに
何の用だろう…。



