魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜

「……ここは？」

部屋にはロココ調の家具がたくさん置かれ、まるで童話の中のお姫様のような部屋だ。しかし、そんな可愛らしい雰囲気の部屋には似合わないものがある。

「どうしてこんなことに……」

ジュエルの手には、手錠がかけられていた。外したくても外すことはできない。

豪華な部屋を見ていたジュエルの頭の中に、記憶がゆっくりと蘇っていく。レンのことを思い出し、ジュエルは扉へと走った。幸い、足は拘束されていない。

しかし、扉には鍵がかけられていた。部屋に窓はあったが、地上から何メートルも離れている。窓からの脱出は不可能だ。

「開けて！開けてください！誰か助けて！！」

ジュエルは叫び、扉を手錠がかけられた両手で叩く。レンはどこにいるのか、そのことでジュエルの頭はいっぱいだ。

「目が覚めたんだね？今ドアを開けるよ。ちょっと待ってて」

扉の向こうから、ユーゴの声が聞こえてくる。ジュエルは息を何度も大きく吐きながら扉が開くのを待った。

ガチャガチャと音を立て、鍵が外される。扉が開き、黄色の装飾が施された青い衣装を着たユーゴが姿を見せる。ジュエルは素早く走り、ユーゴの脇をすり抜けて廊下に飛び出した。