魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜

この王国には、一部の人間しか知らないことがある。

それはーーー王家の人間は魔法が使えるということ。

「ごめんね、一緒に来て」

ユーゴがジュエルに向かって青い光を放つ。その光が当たった刹那、ジュエルは耐えられない眠気に襲われた。その場に崩れ落ちそうな体をふわりと優しく抱きしめられる。

「おやすみ、僕のお姫様……」

チュッと優しいリップ音とともに、ジュエルは意識を完全に失った。



ユーゴをジュエルが見たのは、ユーゴの戴冠式の時だった。フランチェスカとともに、ジュエルはシャノン王国の首都を訪れた。

その時、ユーゴを遠くからジュエルは見たのだ。初めて見た王族の人間に、まるで太陽のように明るい笑顔の人だとジュエルは思った。

「……ん……」

ジュエルが目を覚ますと、そこには自分が永遠に触れることなどなかったであろう世界が広がっていた。

ジュエルは、天蓋付きの美しい宝飾が施された大きなベッドに寝かされている。部屋はジュエルがレンと暮らしていた部屋よりずっと広い。