魔法に囚われて〜誘拐されて溺愛されてます〜

「あんま手荒な真似はしたくねぇ。大人しくしていてくれればいいからさ」

山賊はバタフライナイフをポケットから取り出し、ゆっくりとジュエルとレンに近づいていく。バタフライナイフは折りたたみ式のナイフだ。まだ刃は開かれていない。

「レン！木の陰に隠れなさい！！」

ジュエルは胸からナイフを取り出し、レンを真横に走らせる。山賊たちは驚いた顔をしたが、すぐに武器を取り出した。

「いいか、傷はつけるなよ！」

リーダーであろう男性が言う。どこかへ売り飛ばすつもりなのだろうか、とジュエルは冷静に相手を見つめた。

山賊たちは、ゆっくりとジュエルに近寄り捕まえようと手を伸ばす。その手をジュエルは押さえ、相手をその場にひねり倒した。

「……は？」

山賊たちが呆然としているうちに、次々とジュエルは攻撃していく。ナイフで斬り付けはせず、殴ったり蹴り上げたりして山賊をあっという間に倒した。

小柄なジュエルの周りには、武器を手にした大柄な山賊が倒れている。ジュエルは荒い呼吸を吐き出し、その場に座り込む。