ジュエルは幼い頃に両親を亡くし、フランチェスカとともに育てられた。そのおかげで 勉学、剣術、裁縫や料理など様々なことが身についている。

「二人に差し入れ持ってきたよ〜」

フランチェスカはバスケットをジュエルに渡す。中には、エビとトマトとイカのスープ、ほうれん草など野菜の入ったオムレツ、バターチキンがおいしそうに湯気を立てている。

「わあ〜!おいしそう!」

レンがぴょんぴょんと飛び跳ね、ジュエルは「いいの?」とフランチェスカに訊ねる。

「いいのいいの!医師として同い年なのに頑張ってくれてるんだもん!!これくらい助けたうちにはならないよ」

フランチェスカは笑顔で言う。ジュエルは「ありがとう」と微笑んだ。

穏やかな時間が、今日も流れていく。誰も考えもしないだろう。ジュエルを狙う人がいることを……。



ジュエルとレンは、村の外れの森の中にある一軒家に住んでいる。森の中には薬草がたくさんあるためだ。

「レン、そろそろ帰ろうか」

怪我をした村人の治療を終え、ジュエルはレンに声をかける。もうすぐ日が暮れてしまう。日が暮れれば森に向かって歩くのは危険だ。