レンは、三年前まだ赤ちゃんだった頃にジュエルの家の前に捨てられていた。ジュエルは自分で育てていくことを決め、友達や村人に助けてもらいながらレンを育ててきた。今ではレンは、ジュエルの診療所でお手伝いをしてくれる。

「もうお昼ね。レン、ご飯にしようか」

ジュエルが時計を見て言う。レンは「ご飯！！」と目を輝かせた。

「今日のご飯はクロワッサンよ〜」

バスケットを取り出し、ジュエルは微笑む。レンは「わ〜い！」とはしゃぐ。

ジュエルはミルクティー、レンはホットミルクを入れて柔らかなソファに腰掛ける。

その時、ガチャリと診療所の扉が開く。ジュエルは扉の方を見た。ふわふわしたブラウンの短い髪に赤い目の女性だ。赤いリボンを結んだワンピースは村人の着ているものより高いものだ。

「おっ邪魔しま〜す！」

「フランチェスカ！どうしたの？」

「フランお姉さん！」

ジュエルとレンは立ち上がり、フランチェスカ・グラツィアのもとへ駆け寄る。彼女はお金持ちのお嬢様で、ジュエルの幼なじみだ。