ユーゴがジュエルの頰に触れる。ジュエルは抵抗することなく、ユーゴに触れられていた。フランチェスカとも、レンとも違う温もりに、ジュエルの心は高鳴っていくのだ。

「……僕は、戴冠式の時に君を見つけてその時思ったんだ。儚い花のように美しい人だなって。守りたい、そばにいてほしい、そう思ったんだ。特別なことがあったわけじゃない。それでも、恋に落ちた」

ユーゴが優しくジュエルに唇を重ねる。レンを育てることを一番に考え、恋などとっくに忘れてしまったジュエルは頰を赤く染める。

「もうレンに会わせないって言わない。手錠も外す。だから、そばにいてほしいんだ。結婚しよう?」

二人の出会いは一瞬。それから始まった日々は突然すぎて、ジュエルはまだ整理しきれていないことも多い。

それでも、ユーゴに優しく触れられるたびに感じる何かがあるのだ。それは、あと一歩できっとユーゴと同じ気持ちになる。

「ユーゴ様」

グロスが塗られた口でジュエルはユーゴの名前を呼ぶ。ユーゴは緊張したように真剣な顔だった。それでも、頰を赤く染めている。

「私は、まだ気持ちが整理できていません。なのでもう少し待ってくださいませんか?きっと今この胸にある想いは、あと少ししたら「恋」に変わります」

「そっか。……ありがとう」

ジュエルはふわりとユーゴに抱きしめられる。そして、また愛をささやかれる。

生涯、ジュエルは王に溺愛されるのだろう。